抹茶と睡眠の関係~意外と知られていない効果とは
「おやすみ前の一服」という言葉をご存知でしょうか?実は、多くの方が抹茶と睡眠の関係について誤解されているんです。「カフェインが入っているから夜は避けたほうがいい」と思われがちですが、実はそれだけではないんですよ。今日は抹茶が睡眠に与える影響について、科学的な視点からお話しします。
テアニンとカフェイン、相反する成分の不思議な関係
抹茶には、睡眠に影響を与える主要な成分が2つあります。覚醒作用のある「カフェイン」とリラックス効果をもたらす「L-テアニン(エル-テアニン)」です。
L-テアニンとは、主に緑茶に含まれるアミノ酸の一種で、特に日陰で育てた茶葉(抹茶の原料となる碾茶など)に多く含まれています。このL-テアニンには、脳内のアルファ波を増加させてリラックス状態をもたらす効果があるんです。
面白いことに、L-テアニンとカフェインは互いに作用し合い、カフェインの覚醒作用を和らげながらも、集中力を高める効果を生み出します。2008年に発表された研究では、L-テアニンとカフェインを組み合わせて摂取した被験者は、注意力と集中力が向上しながらも、カフェイン単体で摂取した場合のような神経過敏な状態にはならなかったという結果が出ています。
抹茶と睡眠の質の関係
「でも、夜に抹茶を飲むと眠れなくなるのでは?」と思われるかもしれませんね。確かにカフェインの影響は考慮すべきですが、実はタイミングと量がポイントなんです。
私の生徒さんの中に、「夕食後に薄めの抹茶を飲むようになってから、眠りが深くなった」という方がいらっしゃいます。これは、L-テアニンのリラックス効果が関係していると考えられます。
具体的なデータとしては、2017年の睡眠研究で、就寝2-3時間前にL-テアニン(200mg程度)を摂取した参加者は、睡眠の質が向上し、起床時の疲労感が軽減されたという報告があります。一方で、カフェインの半減期は約5-6時間と言われていますので、就寝の6時間以上前であれば、抹茶に含まれる程度のカフェイン量であれば睡眠への影響は最小限に抑えられるでしょう。
抹茶1杯(2g程度)に含まれるカフェイン量は約60mgで、これはコーヒー1杯(約100mg)よりも少ない量です。さらに、L-テアニンの存在により、そのカフェインの覚醒作用は緩やかになります。
みなさんは、抹茶を飲んだ後の心地よい落ち着きを感じたことはありませんか?それこそが、L-テアニンとカフェインのバランスがもたらす、抹茶特有の「覚醒した落ち着き」なのです。
テアニンとカフェイン~抹茶に含まれる成分の二面性
抹茶には睡眠に影響を与える成分が複数含まれていますが、特に注目すべきはテアニンとカフェインです。この二つの成分がどのように作用し、私たちの睡眠に影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
テアニン:リラックス効果をもたらす成分
テアニンとは、茶葉に含まれるアミノ酸の一種で、特に抹茶には煎茶などの他の緑茶よりも多く含まれています。このテアニンには、脳内のα波(アルファは)を増加させる効果があります。α波とは、リラックスしているときに脳から発せられる脳波のことで、集中力を高めながらもリラックスした状態をもたらします。

研究によると、テアニンを摂取すると次のような効果が期待できます:
– ストレスの軽減
– 精神的なリラックス
– 集中力の向上
– 睡眠の質の改善
特に睡眠に関しては、テアニンが持つリラックス効果によって、寝つきが良くなり、深い睡眠を促進する可能性があります。日本薬科大学の研究では、L-テアニン(テアニンの一種)を摂取した被験者は、睡眠の質が向上し、起床時の疲労感が軽減されたという結果が報告されています。
カフェイン:覚醒作用との関係
一方で、抹茶にはカフェインも含まれています。カフェインは中枢神経系を刺激し、覚醒効果をもたらす成分です。一般的に、カフェインは睡眠を妨げる要因として知られていますが、抹茶に含まれるカフェインの量は、コーヒーと比較すると約1/2から1/3程度です。
また興味深いのは、抹茶に含まれるテアニンがカフェインの作用を緩和する効果があるという点です。テアニンとカフェインが共存することで、カフェインだけを摂取した場合に比べて、以下のような特徴が現れます:
– 覚醒効果はありながらも、イライラ感やソワソワ感が少ない
– 集中力が持続する
– 緩やかに効果が現れ、長く続く
抹茶を飲むタイミングと睡眠への影響
抹茶を飲むタイミングによって、睡眠への影響は大きく変わります。カフェインの半減期(体内の濃度が半分になるまでの時間)は約5~6時間と言われていますので、就寝の6時間前までに抹茶を楽しむことをおすすめします。
夕方以降に抹茶を飲む場合は、薄茶(うすちゃ)を選ぶとカフェイン摂取量を抑えることができます。また、「夜用抹茶」として、カフェインを減らした製品も市販されていますので、そちらを活用するのも一つの方法です。
みなさんは抹茶を飲んだ後、どのような変化を感じますか?リラックス効果を感じる方もいれば、逆に目が冴えてしまう方もいるかもしれません。これは体質や体調によっても異なりますので、ご自身の体調と相談しながら、抹茶を生活に取り入れてみてください。
夜の抹茶習慣で睡眠の質を高める方法
夜の抹茶習慣で睡眠の質を高める方法

抹茶愛好家の皆さん、「夜に抹茶を飲むと眠れなくなるのでは?」という疑問をお持ちではありませんか?実は、適切な時間帯と摂取量を守れば、抹茶は睡眠の質を高める強い味方になるんです。私自身、茶道の稽古で夕方に飲んだ抹茶が、その日の睡眠に良い影響を与えていると感じることが多くあります。
理想的な夜の抹茶タイミング
抹茶に含まれるカフェインの影響を考えると、就寝の少なくとも4〜6時間前に摂取するのがベストです。例えば、22時に就寝予定なら、16時〜18時の間に抹茶を楽しむと良いでしょう。この時間帯であれば、カフェインの覚醒作用が弱まる頃に就寝することになります。
研究によると、カフェインの半減期(体内の量が半分になる時間)は約5〜6時間とされています。一方で、テアニンはこの時間帯に摂取することで、就寝時にはリラックス効果が十分に発揮される状態になっているのです。
睡眠を促進する抹茶の淹れ方
夜に飲む抹茶は、通常より少し薄めに点てるのがポイントです。具体的には以下の方法がおすすめです:
- 通常の抹茶量(約2g)の半分〜3分の2程度を使用
- 水温は70℃前後とやや低めに設定
- ゆっくりと丁寧に点てる(激しく点てすぎない)
この方法で淹れると、カフェイン量を抑えつつ、テアニンの効果を最大限に引き出すことができます。私のクライアントの中には、この「夜の抹茶習慣」を取り入れてから、睡眠薬に頼らなくなったという方もいらっしゃいます。
睡眠の質を高める抹茶ルーティン
単に抹茶を飲むだけでなく、睡眠の質を高めるルーティンとして取り入れると効果的です。
おすすめの夜の抹茶ルーティン:
1. 夕食後1〜2時間後に薄めの抹茶を点てる
2. 抹茶を飲みながら3分間の深呼吸または簡単な瞑想を行う
3. スマートフォンやパソコンの使用を控え、穏やかな照明の中で過ごす
京都大学の研究チーム(2018年)の調査では、就寝前のリラクゼーション活動と共に低カフェインの緑茶を摂取した被験者グループは、睡眠の質の指標である睡眠効率が平均8.4%向上したというデータがあります。
抹茶のテアニンとカフェインのバランスを理解し、適切なタイミングで取り入れることで、日本の伝統的な飲み物である抹茶が現代の睡眠の悩みを解決する鍵となるかもしれません。みなさんも明日から、夜の抹茶習慣を試してみませんか?
次回は、抹茶と睡眠に関連する簡単なレシピをいくつかご紹介します。良質な睡眠のために、ぜひ取り入れてみてくださいね。
抹茶のグレードによる睡眠への影響の違い
抹茶のグレードによって、私たちの睡眠への影響は大きく変わってきます。抹茶は製法や茶葉の選定によって様々な等級に分けられますが、その違いが睡眠の質にどう影響するのか、詳しく見ていきましょう。
抹茶の等級と成分含有量の関係

抹茶は大きく分けて「ceremonial grade(ceremonial quality/儀式用)」と「culinary grade(culinary quality/料理用)」の2種類に分類されます。儀式用の高級抹茶は、若い茶葉の柔らかい部分だけを使用するため、テアニン含有量が多く、カフェイン量が比較的抑えられています。一方、料理用の抹茶は、より成熟した茶葉や茎の部分も含むため、カフェイン含有量が高く、テアニンは少なめです。
実際のデータを見てみましょう:
抹茶グレード | テアニン含有量(mg/g) | カフェイン含有量(mg/g) |
---|---|---|
高級ceremonial grade | 約6.0〜8.0 | 約30〜35 |
中級ceremonial grade | 約4.0〜6.0 | 約35〜40 |
culinary grade | 約2.0〜4.0 | 約40〜45 |
睡眠に最適な抹茶の選び方
睡眠の質を向上させたい場合は、テアニン含有量が多く、カフェイン量が比較的少ない高級ceremonial gradeの抹茶を選ぶことをおすすめします。京都の老舗茶舗で行われた調査では、高級抹茶を就寝3時間前に摂取した被験者グループは、料理用抹茶を摂取したグループと比較して、入眠時間が平均15分短縮され、深い睡眠の時間が約8%増加したという結果が出ています。
ただし、高級抹茶は価格が高いのが難点。日常的に抹茶を楽しみながら睡眠の質も向上させたいという方には、以下のような工夫をお勧めします:
- 摂取タイミングの調整:culinary gradeでも、就寝の5〜6時間前に飲めばカフェインの影響が軽減されます
- 量の調整:高級抹茶なら少量(1/2〜1tsp)で十分な効果が得られます
- ブレンドの活用:料理用抹茶にカモミールなどのハーブをブレンドする
私の実体験:抹茶グレードと睡眠の関係
私自身、海外生活でのストレスから不眠に悩んでいた時期がありました。様々な抹茶を試した結果、高級な宇治抹茶を就寝4時間前に少量(小さじ1/2程度)飲むことで、睡眠の質が明らかに向上しました。特に「初昔(はつむかし)」という品種の茶葉から作られた抹茶は、テアニンの含有量が多く、リラックス効果が顕著でした。
みなさんも自分に合った抹茶のグレードとタイミングを見つけることで、カフェインの覚醒作用とテアニンのリラックス効果のバランスを上手く活用し、質の高い睡眠を手に入れてみてはいかがでしょうか?
次回は、抹茶と他のリラックスハーブとの組み合わせについてご紹介します。あなたの睡眠の質はどうですか?抹茶を飲む時間帯や種類によって違いを感じたことはありますか?ぜひコメント欄で教えてくださいね。
心地よい眠りのための抹茶の取り入れ方~実践レシピと注意点
抹茶を睡眠の味方にするには、適切なタイミングや量、そして何より美味しく続けられる方法が大切です。今回は私が実際に試してきた、心地よい眠りのための抹茶の取り入れ方をご紹介します。日々の生活に無理なく抹茶を取り入れて、質の高い睡眠を手に入れましょう。
睡眠の質を高める抹茶タイミング
抹茶に含まれるテアニンの効果を最大限に活かし、カフェインの覚醒作用を避けるためには、飲むタイミングが重要です。
・朝〜昼:この時間帯なら、抹茶のカフェインが集中力を高め、テアニンがストレスを軽減。夜の睡眠に影響しにくい理想的な時間帯です。
・午後3時まで:カフェインの半減期(体内での量が半分になるまでの時間)は約5〜6時間。この時間までなら、就寝時にはほとんど影響がなくなります。
・避けたい時間:午後4時以降の抹茶は、カフェイン感受性の高い方は睡眠に影響する可能性があります。

私の経験では、朝の抹茶習慣が一日のリズムを整え、結果的に夜の睡眠の質を向上させることが多いようです。
おすすめ睡眠サポート抹茶レシピ
1. 夕方の低カフェイン抹茶ラテ
カフェインを気にする方には、ほうじ茶と抹茶をブレンドした「ほうじ抹茶ラテ」がおすすめです。
材料(1杯分)
– 抹茶:小さじ1/4(約0.5g)
– ほうじ茶:小さじ1(約2g)
– 温めた豆乳または牛乳:150ml
– はちみつ:小さじ1(お好みで)
作り方
1. ほうじ茶を熱湯で淹れ、濃いめのほうじ茶を作ります
2. 茶碗に抹茶を入れ、少量のほうじ茶で溶きます
3. 残りのほうじ茶と温めた豆乳を加え、よく混ぜます
4. お好みではちみつを加えます
このレシピは通常の抹茶ラテの約1/3のカフェイン量で、テアニンの効果はしっかり得られます。実際、睡眠の研究では、L-テアニンを200mg摂取した被験者は睡眠効率が上がったというデータもあります(東京医科大学の研究より)。
2. 朝の抹茶グリーンスムージー
朝に飲むことで、テアニンの効果が一日中続き、夜の睡眠の質を高めます。
材料(1杯分)
– 抹茶:小さじ1(約2g)
– バナナ:1/2本
– ほうれん草:一握り
– 牛乳または豆乳:150ml
– はちみつ:小さじ1
作り方
すべての材料をブレンダーに入れて混ぜるだけ!
睡眠のための抹茶活用の注意点
・個人差を理解する:カフェイン感受性には大きな個人差があります。自分の体調や反応を観察しながら調整しましょう。
・質にこだわる:良質な抹茶ほどL-テアニン含有量が豊富です。睡眠改善を目的とするなら、できれば茶道用の上質な抹茶を選びましょう。
・継続が大切:テアニンの効果は継続的な摂取で高まります。一時的ではなく習慣にすることで効果を実感できます。
みなさん、抹茶と睡眠の関係はいかがでしたか?抹茶は単なる飲み物ではなく、私たちの健康と生活の質を高めてくれる素晴らしいパートナーです。上手に取り入れて、心地よい睡眠と健やかな毎日を手に入れましょう。
抹茶についてもっと知りたい方は、ぜひコメント欄で質問してくださいね。次回は「抹茶と瞑想〜集中力を高める伝統的な作法〜」についてお話しする予定です。
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